About

コロナウイルスの感染拡大によってさまざまな芸術文化が大きな影響を被る中、音楽における表現の場も、未知の変化との共生に向けた新しい形やあり方の更新を迫られています。水戸芸術館で現在開催されている「道草展:未知とともに歩む」の関連プログラムとして行われる『Music for Environment』は、この転換期となる今、私たちの世界をとりまく「環境」と音楽の関係を見つめ直すイベントです。三者によるパフォーマンスを通して、サウンドや空間をめぐる多様なアプローチや感受性を提示し合い、その差異や重なりを共有します。そして観客と共に、「聴く」ことで揺れ動いていく環境のリアリティを確かめながら、これからのフィールドに新しい音の芽が萌すための試みを実践します。
イベントに合わせて、関連アーティストによるオリジナルミックス音源が定期的に配信されます。昨年33年ぶりの再発となる『Nova+4』が話題を集めた廣瀬豊による、未発表音源を含めたミックスが現在公開中で、今後は、環境音楽に造詣の深いスペンサー・ドラン(Visible Cloaks)による、水戸芸術館の設計を手掛けた磯崎新の建築をモチーフにしたミックスなどが近日公開予定です。

日時:11月3日(火・祝) 17:00~19:30(開場:16:30)
出演:梅沢英樹+上村洋+小金沢健人、蓮沼執太、INOYAMALAND、𣏤栂木一徳(転換DJ)
会場:水戸芸術館広場(雨天:水戸芸術館広場回廊)
定員:事前予約50名+当日券(雨天の場合当日券の発行は致しません)
料金:無料(ただし当日券の引換には展覧会入場券半券が必要です)
事前予約申し込み先: https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5128.html
問合せ: TEL:029-227-8111〈水戸芸術館(代表)〉
主催:Music for Environment、公益財団法人水戸市芸術振興財団
メイン・アートワーク:原田光 デザイン:庄野祐輔

Artist

梅沢英樹

1986年群馬県生まれ。環境の中で知覚する前言語的な感覚や、自然現象の複雑性への関心をもとに制作 を行う。これまでにパリ、ダブリンなどで開催された展覧会への参加や、ストックホルムの国立電子音楽 スタジオEMSにて滞在制作を行う。主な受賞にリュック・フェラーリ国際コンクール/プレスク・リヤン 賞 2015、TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2018 グランプリなど。2021年よりポーラ美術振興財団 在外研修員としてフランスに滞在予定。

上村洋一

視覚や聴覚から風景を知覚する方法を探り,主にフィールドレコーディングを素材にインスタレーションやサウンドパフォー マンス,音響作品などを制作し国内外で発表している。フィールドレコーディングを「瞑想的な狩猟」として捉え,その行為 を通して,人間と自然との曖昧な関係性を考察している。2021年1月にTOKAS(東京)にて黒沢聖覇との共同プロジェクト「冷 たき熱帯、熱き流氷」を開催予定。同年9月からHIAP(ヘルシンキ)に滞在予定。
http://www.yoichikamimura.com/

小金沢健人

1974年東京に生まれる。1998年武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。ベルリン滞在 (1999-2017)を経て現在は東京在住(2018-)。 映像を出発点に、ドローイング、インスタレーション、パフォーマンスが混在する表現 に至る。Haus am Waldsee (2012 ドイツ)、 Haus Konstruktiv (2009 スイス)などヨーロッパの美術館での個展のほか、あいちト リエンナーレ(2010)、六本木クロッシング(2010)、 横浜トリエンナーレ(2005)、シャルジャビエンナーレ(2003)、マニフェスタ4 (2002)など国内外の大型展にも参加多数。 2018年アジアンアートアワードで大賞受賞。劇場の新しい使い方を示したKAATでの 「Naked Theatre」(2019) は大きな反響を呼んだ。

蓮沼執太 SHUTA HASUNUMA

1983年、東京都生まれ。音楽作品のリリース、蓮沼執太フィルを組織して国内外での コンサー ト公演をはじめ、映画、演劇、ダンス、音楽プロデュース などでの制作多数。 近年では、作曲という手法を様々なメディアに応用し、映像、 サウンド、立体、インスタレー ションを発表し、個展形式での展覧会や プロジェクトを活発に行っている。 主な個展に『 ~ ing』(東京・資生堂ギャラリー 2018)など。第69回芸術選奨文部科学大臣新人 賞を受賞。
http://www.shutahasunuma.com

イノヤマランド INOYAMALAND

山下康と井上誠から成る音楽ユニット。細野晴臣プロデュースによる1983年のファーストアルバム 『DANZINDAN-POJIDON』をリリース後、商業施設や博物館といった国内のさまざまな環境音楽の制作を手掛 け、黎明期からシーンに携わる。過去作品の世界的な再評価が近年高まる中、2020年9月には22年ぶりとなる新作 アルバム『SWIVA』がExT Recordingsからリリースされた。 https://inoyamaland.amebaownd.com

𣏤栂木一徳

1993年、大阪生まれ。執筆や翻訳。ウェブメディア『MASSAGE』などに寄稿。『ニューエイ ジ・ミュージック・ディスクガイド』(DU BOOKS)では、尾島由郎とスペンサー・ドラン (Visible Cloaks)のインタビューを担当。

MIX

MfE002 Visible Cloaks - Mix for Art Tower Mito

今回のミックスでは、磯崎新の建築物に対する私の心的なモデルを捉えるために、曲を配置しました。例えば、「Boerdijk–Coxeter helix」(四面体を積み上げた水戸タワーの形態)の螺旋はイギリスのハンドベルが交差する音として表象され、岩の噴水の霧はそよ風の音として表されています。
彼のモニュメントは、それらがデザインされ、建築された時代にとっての歴史的遺産となりますが、同時に現代の私たちが観察し、見直し、またオブジェクトとして存在を認識することで、現在の物理的な現実世界とも絶えず交わり続けています。そのことを捉えるために、さまざまな時代に生み出された彼の建築物と、コンテンポラリーな音楽をミックスしました。

TrackList:
Wayne Phoenix - Place
細井美裕(Miyu Hosoi) - Lenna (Hpl22 Ver.) [feat. Chikara Uemizutaru & Misaki Hasuo] (first section)
ssaliva - so long to my skull
Beatriz Ferreyra - La Ba-Balle du Chien-Chien à la mé-mère (partial section)
浦田恵司 (Keishi Urata) - 月夜の晩に (On A Moonlit Night)
小松千倫 (Kazumichi Komatsu) - Emory
Otro - Dance Of The Young (Augurs Of Spring)
HMOT - Sedate
Walter Zimmermann - I Rossinis Einzug In Wien (Rossini's Arrival In Vienna)
Nour Mobarak - Allophone Movement (partial section)
Angklung - Angroove
Change Ringing Handbell Group - Stedman Cinques
テツ・イノウエ (Tetsu Inoue) & Andrew Deutsch ‎– Installation Sound
福沢もろ(Moro Fukuzawa) - 10 2999年の童話
Global Guaranty Orchestra - Marble Rain
Michel Redolfi - Giving Love Away Berceuses (comp. Robert Ashley)
Robert Ashley - Anecdote With Chorale "Giving Love Away" (final section)
Seigen Ono (小野誠彦) - You Are Here

MfE001 Yutaka Hirose - Drawer In My Head

私が、音の仕事に関わっていた時は「音による時の彫刻」というコンセプトでサウンドデザインを行っていました。昨年The Vinyl FactoryさんよりMixのお仕事をいただき、暫く私にとってのMixとは何かを思考するうちに、なんとなく行き着いたのが「音による短編映画の創造」というコンセプトであり、その時はNova作成当時に聴いていた様々なジャンルの音による音像化でした。今回もそのコンセプトを継続したMixで、私が制作していた音の可能性を再確認するためにテーマを「図書館に埋もれた声」とし、声を用い制作した音を基本としてMixしています。使用音源については特にタイトルはつけていませんが、1985年、1990年から1991年、2014年に制作した音と幅を広げ選んでいます。そして最後の使用テイクは、WRWTFWWのNova+4のカセットからFissures of the Atmosphere(1986年)を使って構成しています。

Profile:
1961年 1月6日生まれ
1979年:芸能山城組参加(1年ぐらいで脱退)
1981年〜1983年:演劇活動の舞台音源制作、ラジオ関連のサウンド制作
1984年:アスキーのハイテックラボにて音関連の制作
1985年:六本木ストライプハウスギャラリーにて20代のアーティストによる夜会参加
1986年:Nova ミサワホームより発表(LP、CD、カセット)
1986年:「増殖する植物」発表(カセット):WAVEよりのオファー
1987年3月:MSXポケットバンク 音楽のおくりもの アスキーより出版
1986年〜1990年:サウンド・プロセス・デザインにて、六本木WAVEでの音の展示 パルコのエスカレータの音、神戸XEBCKのオープニングマルチスライドの音デザイン、茨城総和町ネーブルパークの音デザイン、川崎市民ミュージアム/歴史民族展示ブース 展示音、日立シビックセンターサウンド デザイン、花と緑の博覧会(大阪)大輪会ウォータオアシス前室のサウンドデザイン、その他ギャラリー、カフェバー、博物館等のサウンド製作
1992年:清里現代美術館ジョン・ケージ メモリアルためのサウンドデザイン
以後 沈黙
2013年 趣味的な制作再開
2019年 WRWTFWWよりNovaをNova+4とリリース